モバイル通信の進化と5Gの特徴
1980年代から開始したモバイル通信ネットワークは、10年ごとに大きく進化しています。モバイル通信は1Gから4Gに至るまで、通信速度の向上を進め、主に人と人とのコミュニケーションを行うためのツールとして発展してきました。様々なモノがネットワークにつながるこれからのIoT時代、5Gはその重要な基盤となり、コミュニケーションのあり方を変化させ、新たなビジネスの進展に貢献すると期待されています。
5Gは、「高速・大容量」「低遅延」「多数端末との接続」という特徴を持っています。これらの特徴により、4K/8K高精細映像やAR/VRを活用した高臨場感のある映像の伝送、自動運転サポートや遠隔医療などを実現し、様々なサービス、産業を革新すると期待されています。
5Gを実現する技術
高速・大容量
高速・大容量化の技術として、高周波数帯を利用した超広帯域伝送とMassive MIMOというアンテナ技術があります。
広帯域伝送を行うことで同時に多くのデータを伝送することが可能なため、高速・大容量通信を実現。
また、広帯域を確保するために高周波数帯を利用。
多数のアンテナ素子を用いることで送受信ビームの形状を制御。ビームを一方向に集中させることでエリアを拡大したり、複数のビームを同時に生成することで同一周波数で同時接続数を増やすことが可能。
低遅延
無線の最小送信単位(信号を送信するための時間間隔)を短くし、送信時間、復調、複合に要する時間を短縮することで無線区間の低遅延を実現します。さらに、より基地局に近いところにサーバを設置(MEC:Multi-access Edge Computing)することで有線区間の遅延を短縮します。
多数端末接続
センサー等のIoT端末を用いたサービスでは、IoT端末を設置する場所のエリア化や多数の端末の同時接続、電池交換が困難な状況を考慮した端末の電池寿命延伸などを検討する必要があります。そのため、多数端末接続では、送信帯域幅を狭くしたり、端末のスリープ時間を延ばすなどのLTEの技術を活用することが考えられます。
ネットワーク構成
5Gのサービス開始当初は、LTEで接続性を確保しながら、5G基地局エリアでは5Gの特徴を活かしたサービス提供を行うネットワーク構成(NSA:Non-Stand Alone)が考えられます。
5G時代のネットワーク
5Gによるデジタルトランスフォーメーション
5G時代は、あらゆるものが繋がる「幅広いユースケース」に対応できるネットワークが必要です。
5G時代のネットワークの在り方
「幅広いユースケース」に対応するためには、ユースケースに応じたEnd-Endでの「品質」や「独立性」の確保が必要となります。そのために、ネットワークを仮想的に分離(スライス)し、ユースケースに応じた最適な機能を提供する「ネットワークスライシング※」、より基地局に近いところにサーバを設置することで有線区間の遅延を短縮する「MEC(Multi-access Edge Computing)」などのネットワーク技術が重要になります。
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ネットワークスライシング
1つのネットワークにすべてのサービスを収容する現在の運用とは異なり、共通のネットワーク基盤上にネットワークスライスをユースケースごとの要求条件に合わせて仮想的に構築し収容することで、高いレベルの要求条件を効率的に実現できるようになります。